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2010年12月1日水曜日

退職のご報告

専門学校を出て初めて入った会社を本日付で退職しました。

都合6年間お世話になっていたのですが、まあよくある話でいろいろあったものの、非常に貴重な経験をさせてもらったと思います。
別に必要とされなくなった( ∑(・∀・) )訳でも、喧嘩別れしたわけでもなく、そろそろ他所も見てみたいなあ、と考えていたところに都合良くお誘いの話を頂いた形です。
社長とはいろいろ相談をさせてもらったのですが、このご時世、会社も大変な中にもかかわらず、快く送り出してくれました。感謝しています。

今後は小さく新しい会社で再スタートとなりますが、加速する世の中に飲み込まれて消え去らないよう、心機一転頑張ります。
このブログも何だか中途半端な形で続いてしまっているので、もっと積極的に情報発信していかないと。
さて、や~~るぞ~~~。

2010年8月8日日曜日

[お仕事]劇場版CGアニメ撮影後記(絵作り編)

続いて、今回の劇場版で実感した絵作りの問題点について。
こちらは単純に僕の未熟さから来る失敗談なのだけど、記録しておくことで何がしかの役に立つかも、ということで。
余談だが、人のセミナー等に参加してみて、実は成功例よりも失敗例の方がより問題の本質を把握してもらい易いのではないかと考えている。幸か不幸か、失敗例には事欠かないのだ! (´;ω;`)

さて、今回僕は約20分の劇場版CGアニメーションに「撮影監督」として参加した訳だが、色々と知識、経験、技術が不足していたため問題が発生した。中でも一番問題だと感じたのは
「データ⇒フィルムに焼く際の変化を上手く吸収できなかった」ことである。

今回使用したのは富士のフィルム(型番も撮影所の方に伺ったのだが失念、ちゃんとメモを取っておけ)で、前回使用したのはコダックのフィルムだったと記憶している。
一度フィルムチェックという試し焼きをチェックする機会があったのだが、富士のフィルムはコダックのそれと比べて「全体的にコントラストが強めに出て彩度が高い、特に赤と青が鮮やかに発色する。つまり明るく派手な画面になる」という印象を受けた。

これを受けて、コントラスト、及び赤青中心に彩度を抑え気味にする処理を加えて本番のデータを納品したのだが、彩度に関しては監督からもOKを頂ける程度に調整できたものの、コントラスト、特に暗部の締りが激しく、暗く潰れてしまった箇所が何箇所か出来てしまった。
最終的には、現像の段階で撮影所の方に多少暗部を持ち上げて頂き、監督やプロデューサー、CGディレクターの方々からは特に気にならない程度まで調整はできたのだが、最終的に映像をハンドリングできていないという点で個人的には大きな反省点となった。

といったことをTwitter上でポロッと愚痴ったところ、早速先達の方々にご意見を頂けた。まとめると、
・「現場のモニタと焼いた後のフィルムの色味は必ず変わる」
・「フィルムチェックと現像所との打ち合わせは必須」
 (個人的には編集とチェック用の監督のモニタもあわせて調整したいところ)
・「シーン毎に焼き方の調整もして貰えることもある」
 (現像所によって違うだろうから、ある程度はこちらで対応できるようになりたいが)
・「暗部は特に難しい。RGB10以下は(30以下という声も;色深度の問題もあるだろうけど)、
 特に気を付けている」

大方予想通りではあったが、逆に言えばフィルムであれば常識だったとも言える。もっと事前に相談させて頂けば良かったと反省しきり。

次回(があればの話だが)はこうした点を考慮して、フィルムチェックの段階でこの辺の見極めができるような素材を準備し、焼き上がって「あれ、作業モニタの印象とぜんぜん違う」ということはないようにしたい。
また、例えば撮影所の方からあちらの作業環境のカラープロファイルを頂くことなどはできないものだろうか。最終出力が違う以上、100%揃えることはできないにしても、記憶と目分量に頼るよりは正確な画面設計が出来る気がするのだが…そうした点も踏まえて、事前の準備、関係各所との綿密な相談が必要だということだろう。

 

ちなみに、色指定、色彩設定の方々はこうした媒体の違いも考慮して色の設計をされるのだろうか。いや、それだとTVオンエア、DVD,BD販売の際問題になるか。となると、色の偏向のない状態でマスターを制作して、それを出力媒体に合わせて調整するのがやはり筋なのか。

今回の作品では、キャラの影はCGソフト側でレンダリングされた時点で既にキャラに描き込まれ、後からそのコントラストや色味を調整するのは難しかったのだが、そこを後からでも調整可能にすることで、上記のような場合での対応のしやすさも変わってくるかもしれない。
と同時に、ますます後工程での絵作りの技術と全体の管理能力が要求されることにもなる訳で、自らハードルを上げることにもなる。他所の部署の方々を説得しうる材料をきちんと準備できないと、「素材の調整はお任せ下さい」と自信を持って言うことは難しい。

[お仕事]劇場版CGアニメ撮影後記(制作編)

またしても久方振りの更新…この程度の文章量ですら意識していかないとまとめるモチベーションが得られない自分が情けない。

さて,愚痴も程々に。
7月一杯関わっていた20分の劇場版CGアニメ制作が無事一段落したので、そこで得られたこと、考えたことなどをまとめておくことにした。「記録のない活動に意味はない」とは誰の名言だったか。備忘録備忘録… φ(・ω・ )


自分の担当する「撮影(コンポジット)」というセクションは、映像制作に絡むほぼ全ての素材が集まるところなので、「実際にどのような絵作りをするか」というだけでなく「その大量の素材をどのように捌くか」が最終的な絵の完成度にも大きく影響する。

それ故、このセクションの先人たちは(そのメインツールであるAdobe After Effects使用者の中でも特筆して)スクリプトの使用などによる作業の自動化、効率化を追求してきた。自分もその流れに与してきた一人なので、ここでは今回の劇場版制作に於ける「如何に大量の素材を効率よく管理するか」という点に絞ってまとめてみる。

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◆如何に効率良く撮影素材を管理するか
■1:カット表による管理(Excel,VBAマクロの使用による半自動化)
2:AEscript によるコンポジションの自動セットアップ&各種補助ツール
3:まとめ
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1:カット表による管理(Excel,VBA使用による半自動化)

アニメ撮影、コンポジットの現場ではどこでもカット表を自作しているかと思うが、ウチも制作さんから貰うカット表をベースにオリジナルの「撮影仕様」カット表を作成している。

カット表イメージ

「今回の作品は全部で何カットあるのか」
「カット毎に必要な素材は何か」「その素材はいつ届いたのか」
「そのカットで必要な処理は何か」「そのカットは現在どのような状態か

といったことが一覧できるようになっている。(今回の作品は20分強で350カット程だったので,劇場作品としてはかなり小規模)
各カット、各項目に対する入力も半自動化され、任意のタイミングでボタンクリックすることで指定フォルダ以下の該当素材を検索、チェックできる。と同時に、最上段の全体集計セルも更新されその時々の全体像把握をサポートする。


別のシートには全素材のファイルパス(VBAによる自動取得)も格納されていて、後のコンポ自動作成に使用するつもりだったが…素材の揃いが悪く結局使用せず。一番苦労してVBA書いたのに…(´・ω・`)

このカット表の最大の目標は、
"現在の「リアルタイムな」全体像を把握、共有する" 
ことにある。
その意味ではそこそこ役割は果たしているのだが、「柔軟性」という点にまだ不満が残った。


2:AEscriptによるコンポジションの自動セットアップ
   &各種補助ツール

★"baseCompSetUp.jsx":カット毎のAEPファイルを半自動構築。
        素材読み込みと配置、レンダー設定、シーン毎のプリセット適用
★"shadowSetUp.jsx":キャラ毎に追加される影処理の自動化。
★"BgImport.jsx":遅れて上がってきた素材を差し替える作業を自動化。
★"watchReduceSave.jsx":作業の終わったカットを整理してレンダーサーバに送る
        一連の処理を自動化。
★"retakeSetUp.jsx":リテイク用の素材読み込み、出力設定の修正などの自動化。
★"openNextComp.jsx":規定のフォルダでプロジェクト選択ダイアログを開く。
ファイルの読み込み後など、内部パスが変更された場合の対処用。

スクリプト(ランチャ)イメージ

主に使ったスクリプトは上記6つ、その他細かいものも合わせれば計10個程、作業の進展に合わせて同時進行で書き上げたものも幾つかある。
汎用スクリプト"LaunchPad"にボタンとして登録し、クリックで起動する仕組み。


スクリプトで自動化する処理の基準は、「同様の作業の繰り返し」である。頭を使わず絵を見なくても「処理」出来る作業はどんどん自動化対象とした。その方が圧倒的に速く、ミスも少なく、また作業者毎の差が減少するので修正作業が簡便化する。それで浮いた時間を作業者の「絵作り」の時間に充てたいのである。

また、撮影監督として各カット毎の作業内容をチェックする際,少なくともスクリプトで担当した処理に関してはある程度流して見ることが出来るというのは意外と大きい。


結果として上記目的に関しては十分に達成できたと考えている。少なくともこれら自作スクリプト群が無ければ専属スタッフ2名での作業完了は不可能だった。
作業開始当初は仕様通りに上がってこない素材に由来するバグも頻発したが、自分で作ったツールというものはこうした場面で柔軟に対応できるのが売りである。バグは無いに越したことはないのだが。

一方で、今回明らかになった問題点は撮影作業に自動化を組み込めば組み込むほど、作業者が無思考に陥りやすいということである。(より正確には、「自動化して時間を空けても頭を使おうとしない人は変わらない」ということか。)
当初の目的は、単純作業の自動化、省略により「絵」に向き合える時間を捻出し、完成映像のクオリティを底上げすることにあったのだが、「スクリプトを次々と適応していくという単純作業」に終始してしまうケースが散見された。
ここに関しては自動化云々とは別次元、「どんな映像制作チームを作るか」、というマネジメントの問題であるのだが。



3:まとめ

今回の制作システムではExcelを基幹として、これにスクリプトによる各種ツールを組み合わせることで「大量の素材の効率的管理」リアルタイムな全体像把握を目指したが、現時点で自分がやれそうなところへはある程度手をつけきった感がある。勿論、細部に手を加えるべき余地は沢山残っているのだが、少なくとも、連日のように更新される素材を見失うこともなく、全体像が把握できずにパニックになることもなかった。


しかし一方で、粗も見えてきている。
まずはカット表の「柔軟性」。短期決戦の場合、素材の更新は非常に激しくなるのでその形態がこちらの想像を超えることがままある(上がってくる素材の一部だけ使って、とか)。
現状のカット表は自動化を進めるトレードオフとして、ローンチの段階でかなり枠組みを固定してしまっているため、その変化球に全て答えるのは難しい。
今回の劇場版では、プレーンなエクセルの表と手書き(!)の表でまかなった。図など自由な記号を書き込める手描きの表はなかなかどうして侮れないが、アーカイブの問題などもある。そして何より、僕の金釘流のメモを渡されたスタッフはさぞ閉口したことだろう。


もう一つ、こうした表は見たい時に見たい情報がすぐに見られることが最低条件だが、同時に余計な情報はフィルタリングして目に入れないようにすることも大切である。
となると、イメージとしてPhotoshopのように多重レイヤーを保持し、そこから平常時は管理者の見せたい情報を表示、各ユーザがより詳しい情報を必要とする時は(その人のアクセスレベルに従って)そのレイヤーの中から必要な情報をソートして表示する、という仕組みが便利ではないだろうか。
そうした、「立体構造を持ったデータベース(DB)」を構築したいと考えている。表面には現在リアルタイムの必要な情報(管理者にとっては全体像の把握、作業者にとっては各カットの作業に必要な全ての情報)を、その裏に時系列的奥行きを持ったDBはどうだろう。その作成にExcelが最適なのか、まだ検討段階であるのだが。


更に、自動化を進める上で見えてきた問題点として「自動化がかえって目的意識の共有を阻害し、作業者の思考停止が進む」ということもあるのだが、それはまた別立てで考えたい。


という訳で、「如何に大量の素材を効率よく管理するか」という点に着目した感想はここで終了。
未来の自分に、そして同業の誰かの役に立ち得ただろうか。

2010年5月4日火曜日

[雑記]急転直下な春

前回のポストから3ヶ月も空いてしまった。その間ずっと「もしドラ」がトップを飾っていた訳で、現状殆ど読者がいないにもかかわらず、昨今のブームに乗ったようでちょっと恥ずかしかった。

ついでに、現状のテンプレートだとポストした日付がわからないという致命的弱点を発見した(遅)ので、とりあえず基本のテンプレートに戻してみた。投稿タイトルがでかすぎるのだがどうにも修正方法が分からない。後でページ要素でも調べてみよう。


さて久しぶりに投稿してみる気になったのは流石に1/4年も放っておくと2度と書く気にならなそうなのと、やっとこさ身の回りが落ち着いたため。
年の始めの頃はアニメ以外の映像制作の方向性を模索し始めたり、マネジメントを導入してうちの会社のシステムを改善していこうと考えていたのだが、そもそもの会社が昨今の景気でだいぶ厳しい状況にあり、真っ更なところから考えなおさないといけないことになりそうだ。

自分の身の振り方も含め、同僚たちと色々考えさせられた数カ月だった。良いように考えれば、やっとそういう考えを持てるようになった訳で、まあ皆文句の一つもあるだろうが前向きに行動していくしかないね。

個人的には、あと半年と期間を区切って今いるこの場で何が出来るか、もう一度試してみることにした。去る者も多く、正直大幅戦力ダウンな訳だが、ベストな状況なぞ転がってやしないのは良く分かったのでそこを目指すところから始めることになりそう。年明け後どうなっているのか、我ながらちっとも分からない。


と気持の整理が落ち着いたところで思いのほか平和なGWを過ごしている。とりあえず現状取り組んでいるものとして、
・cinema4D:最近勢いのある3DCG制作ソフト
・Processing/openFrameworks:audio/Visualをコントロールする言語
・python:3DCGソフトと相性の良い言語

がある。
どれも仕事には直接関係の無いものばかりだけれど、だからこそ面白かったりする。twitterなどと連携して、映像、音響と絡めたデータのリアルタイムビジュアライズなんて出来たら面白そう。

その他、その真価を発揮できずに部屋に転がっている映像、音楽制作ソフトや機材にも日の目を見せてやりたい。つい先日新型が発表される直前にオークションで手に入れたELECTRIBEMX/SX(KORG)なんて机の横で日々泣いているかのようだ。済まない。

そして順調に増えていく積ん読たち。最近読んでいるものとしては
・マネジメント(ドラッガー)
・数学嫌いでも数学的思考力が飛躍的に身に付く本!(細野真宏)
・もう一度読む山川日本史
・秘密の花園ノート/渡りの足跡(梨木香歩)

などなど。こちらも読み終わったら自分の脳内を整理する意味でもここでまとめてみたい。

最近でも昔アップロードしたスクリプトをダウンロードしてみて下さる方がちらほらいる。冥利に尽きるとはこのことで、そうした方々のためにも、そして実は自分自身のためにも何かしらアウトプットし続けたいと思う。

2010年1月17日日曜日

[書籍] 「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」読了。

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」岩崎 夏海(著)を通勤がてら読み進めていた。

あとから気づいたのだが,著者ははてな界隈では有名な方。宣伝文句や著書の中であえてそこに触れないのは作品単体としての価値に自信があるからか。

恥ずかしながら僕はドラッカーも良く知らなかった訳だが,読み始めて直ぐにアマゾンに探しに行ったコトは告白しておこう(そして在庫切れであった…)。この本は著者や表紙や妙に長いタイトルを気にしなくても十二分にオススメ出来る良作だと言えると思う。

内容は、とある理由で女子マネになった主人公が野球部を甲子園に連れて行くことを「決意」し,その助けとするドラッカーの「マネジメント」を適宜解説して行く,という流れ。
正直、導入部は文章が妙に簡潔でそっけなく(≒素人ぽく見え)、ドラマ部分も紋切り型,というかキャラ造形,展開が先読みできて、単なる解説書という印象でしかなかった。

が、本家「マネジメント」をまだ読んでいないので何とも言えないが,企業経営のバイブルとされる(??)「マネジメント」を高校野球の女子マネに当てはめる,という発想がそもそも卓越である。
「顧客」「組織の定義」「マーケティング」と言った,本来高校の部活動とは縁の無さそうな用語を主人公の活躍と共に具体化して行く。その翻訳作業を女の子が読者と同じ目線で進めていく点がドラッカーの解説書としての面目躍如たるところだろう。

やがて「マネジメント」の理解が深まり,効果が見えてくると物語自体も滑らかに動き出す。この相乗効果が狙ったものなのか分からないが,この辺まで来るともう「解説書」というよりは普通に物語を読んでいる感覚になれる。オチもなかなか気が効いていて,終わってみれば大満足の1冊だった。


さて,現実に戻ってこれを活かすにはどうしたら良いか。
自分個人,会社の部署,会社全体,そして更には業界全体まで。

僕は(少なくとも商業的な映像制作に関しては)私小説的な個人ではなく、集団,組織での制作を基としているので、組織の「マネジメント」という発想は(この本を読んだ今としては)不可避のものと捉えている。

しかし,ことアニメ業界というものはとかく集団戦が苦手で(それ故スーパーヒーローも現れやすい)、今でも現場では組織戦術の基礎的な概念も希薄である。ましてや「戦略」と呼べるものを明示出来るものがどれだけいるか。

が,一方ではこうした現状に異を唱え、組織的,効率的に制作を進めて最終的な「映像制作」をより良いものにしようという動きも勿論ある。僕も当然そうありたいと願っている。
そうした考え,即ち「集団を組織し,その集団の旨みを引き出して最大限の結果を引き出す」ことを意図する立場においては,この本は色々と参考にすべき点が多いと思う。

個人的に今年は,組織的「戦術」から「戦略」を意図していたので,そのスタートに当たってこの本に出会えたことは大きい。次は本家に手を伸ばしてみよう。アマゾンは再入荷を急がれたい。

DOGU!!!

先日東京国立博物館にて「国宝 土偶展」を見てきました。

正直,行くまではそれ程乗り気という訳でもなく、友達が誘ってくれたのだから,まあ行ってみよう,位に考えていたのですが,これがあにはからんや,非常に面白い体験だったので簡単にご紹介を。


まず、お値段800円で土偶展+常設展も観覧可能。このご時世にあって非常にコストパフォーマンス高いです。ありがたや。
中に入ると土偶展は1部屋のみ。ちょっと規模が小さいかとも思ったのですが,所々にある解説も分かりやすく,不満に思うほどではないかと。

僕は日本史の勉強が基本的に中学で止まっているので(高校では日本史の授業がなかった…),縄文,土偶については全く無知と言ってよく,掲示されている解説一つ一つがとても新鮮でした。

・縄文時代が今から約16,500年前から約3,000年前くらいだったこと
・土偶の分布が時代によってかなり異なること
・土偶の使用例(一部が折り取られているもの,子供の骨が入っているもの)
・土偶の殆どが女性モチーフであること

などなど。

何故ここまで心動かされたのか不思議なのですが(DNAが騒ぐのでしょうか),何というか,そのバックグラウンドに圧倒された,という感じ。
我々の2000年紀を遥かに超えるスパンの中で,我々よりおそらくだいぶ短い寿命を生き,彼らは何を考え,これらの物々を作り,使ったのか。今から1万年後,我々が目にしているもので残っているものは何なのか。何てコトも考えてしまいました。

日本でこれらのものが作られていた時,世界はどのようであったのか。そんな視点があれば,更に面白かったのですが…それは自分で調べれば良いのでしょうか。


一方,常設展では様々なテーマで日本の芸術品が展示されています。
仏像,書画,鎧や刀剣…通してみると,日本の芸術において「仏教」が如何に大きな比重を占めているか実感。西洋においてもキリスト教の影響は至る所に見られますが,日本でも宗教の存在は避けて通れないものですね。

土偶についても,そこには宗教以前の何か、日々の暮らしとは別のものへと思いを馳せる「精神性」を感じます。

生きるだけであれば本来必要ないはずのその「何か」。僕はそこに惹かれます。出来ればそれを考え続け,そして少しでも近づきたい。
そんな思いの原点に触れるような体験でした。

自らの中に縄文の血を感じる人は是非。
(弥生系の方々にはピンと来ないものなのかもしれませんね^^)

2010年1月7日木曜日

お召し替え

当ブログのデザインを変更してみました。
と言ってもほとんどテンプレを持ってきただけですが。良質なテンプレートを公開してくださっている、作者様に感謝。

これまでは、放ったらかしにしておいた本家HTMLサイトの更新情報ページくらいの位置づけと捉えていたのですが、そちらは熟成しすぎて「腐ってやがる…」状態だったので思い切って切り捨て。今後はこちらを中心にいろいろネタをまとめていこうと思います。

2009年はいろいろ貰ってばかりだったので、今年は少しでも有益な情報を発信してお返ししていきたいと思います。

2010年1月4日月曜日

2009/12/31の4日後に

いつかどこかでこの文章を読んで下さる方へ。まずは、時候の挨拶として、明けましておめでとうございます。
今日は2010/01/01から数えて3日目の日、昨日の明日の今日です。

変な書き出しで恐縮ですが、三十路を超え、還暦の両親と久しぶりに会ってみると、時間が直線ではなく円弧を描いているようなイメージを抱いたのです。自分が今考え、為さんとしていることはかつて誰かが考えたこと、そしていつの日か誰かが為そうとすることなのではないかと。
願わくば、歴史のパースペクティブで見ればこれが只の円ではなく、螺旋運動として僕たちの日常から垂直に浮かび上がってくれることを。そして存在のゴールへ少しでも近づいてくれれば良い。

とりあえず現在の接点としての僕としては、今年も本を読み、考え、AfterEffectsやCINEMA4Dなんかを使って映像を作る仕事をしていきたい、そしてその時々の記録や記憶をここにまとめていきたいと思います。

一言でまとめると。
今年もどうぞよろしく。