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2009年12月30日水曜日

2009総括

年末定番のネタですが、ここでやっておかないと何時やる、という話ですので個人的総括と来年への抱負を。

こういう話は、時系列的にまとめるのが分かりやすいだろうが、そんな昔のことは覚えていないので(その為にブログをつける、というのが本道なのだろう。来年は本気を出す)幾つかカテゴリごとにまとめてみた。


1:仕事
2:WEB上での活動
3:個人的研究
4:今年読んだ本


1:仕事
今年の仕事上の最大の成果は、作業工程に本格的にスクリプトを組み込んだことである。
これは6月の記事にも書いたことだけれど、2009年の本業である「アニメ撮影」においてワークフローの中心にAfterEffectsのスクリプトによる作業の半オートメーション化を導入したのである。

これまでもチマチマ小道具は作り続けていたのだけれど、年の初めに知り合った別件のクライアントさんが非常にシステマチックなスクリプトの使い方をされていて、生来の負けず嫌いを刺激されたためでっち上げてみた。
構想1週間、実装に5ヶ月。
作業工程をシステムとして体系化し、人の手が必要な箇所とルーチンワークで機械任せにしたい箇所を選別、不完全ながらもとりあえず毎週の放映ラインと劇場版を乗り切る程度のものを実現化できた。

まだ改善すべき余地はあるので、春までにはバグフィックスとある程度の状況の変化にも柔軟に対応できるようなバージョン2.0をリリースできるようにしたい。

その過程で、どうやら僕は(映像制作会社に居ながら)映像制作それ自体よりも、そのためのシステムを如何に効率的に構築するか、ということに興味が傾きがちだという事実を再認識させられた。
来年春以降、アニメの撮影というシステムを(一時的に)抜け、もう少し映像制作寄りのスタンスを取らせてもらう予定なのだが、これが吉と出るか凶と出るか、今から楽しみである、と見得を切っておこう。


2:WEB上での活動
そもそもこのブログ自体が2009年2月に始めたものだし。
始めた当初は方向性も文体も内容も特に考えていなかったが、とりあえず現場に入って5年ほど経ったし、今以上に有益な情報を集めるには多少は自分でも発信していかねばなるまい、その為には必然的に自分のネタを増やしていかざるを得ないだろう、これぞ一挙両得の計…くらいの軽い考えで始めてみた。

が、4月に手製のWSHスクリプトを公開してみたところタッチの差でTerraon LifestreamのTerraon氏も同種のスクリプトを公開されて、それがご縁でいろいろ話が弾んだのをきっかけに主にtwitterで業界内外の人と知り合ったり、オフで実際にお会いしたりと、一気にネットワークが拡大。

9月には「アニメ撮影勉強会」的イベントにも参加&無謀にもプレゼンまでやってみた。多少の準備はしていったものの当然ションボリな出来栄えだったが、多数の”highly motivated”な同業者たちの姿を目に出来たのは他に替えがたい体験だった。(刺激が強すぎて朝帰りの電車で鼻血が止まらなくなったくらい)
映像に対する知識、姿勢、そして制作し表現する際の視野の広さ、深さ、方向性などなど衝撃的なことばかり。この経験を消化、吸収し自分の血肉としていくことが現状僕のアニメ制作に対するスタンスとなっている。

結論。ブログでも、twitter(個人的おススメ)でも何でも良いので、まずは声を上げてみることをおススメする。その一言が、見知らぬ誰かの役に立つかもしれない。とりあえず僕が聞いてみたい。


3:個人的研究
こちらは年を跨いでのテーマとなるが、次にやろうとしていることについて。
テーマは「matchmove」と「立体視」。
matchmoveは実際に撮影したカメラの動きを検出して、これに別途制作した絵(主にCG)を合成する技術。実写、3DCG、コンポジット(合成)とオールラウンドな知識と技術が必要になる。
立体視は09年末「AVATER」で有名になった映像の立体化技術。映画の手法としてこれが定着するのか、正直まだ不確定なところはあると思うけど、会社に機材があるのでこれを逃す手も無いかと。

僕は個人的に、ここに更に「音」を絡めたいと企んでいる。どんなものが出来上がるのかまだはっきりとは見えないけれど、映像、音響、プログラミング、全部がここに収斂されるという点だけははっきりしている。スタートと当面の目標(≠ゴール)は見えているのだから、とりあえずはそっちに向かってここから一歩ずつ歩いてみるしかない。


4:今年読んだ本
最後に、既に手元に無い本も多いので、印象的だったものを。

こんな時のために、何かしたらその度に記録をとっておくべきなんだよなあ。来年からはもう少しブログを書くことへのハードルを下げていこう。素人の僕には狙い済ましたヒットより千本ノックが必要な時期なんだろうし。

・ライクハック系
『リファクタリング・ウェットウェア』(Andy Hunt)
『はじめてのGTD  ストレスフリーの整理術』(David Allen)
いわゆるライフハックもの。前者はなかなか定着できず。
後者は現在進行形で読んでいるが、
・頭の中の「気になること」を全て頭の外に追い出す。
・それら全ての「気になること」について、求めるべき結果と
次にとるべき行動を決める。
・そうして決めた、とるべき行動を信頼できるシステムで管理、
定期的に見直す。

という流れは納得できるものである。帰省中に読む予定。

・マネジメント系
now reading…
後者は表題も表紙もインパクト大。果たして内容は…
よく見てるブログで紹介されていたので衝動買いしたもの。(先述のTerraon氏といい、このHash氏といい、才気溢れる若手は非常に刺激的。言葉が手に馴染んでいる感じなどお手本としたい)

・読み物系
まさか自分が余暇に数式を書く時が来ようとは…3巻は今の僕にはちと難しいので一休みしてリベンジ予定。プログラミングと相通ずるものがある気がするのだけれど・・・yoyodyne氏のアレから入ったのは内緒。

TWITTERで教わって購入した本。北京生まれ在フランスの女性作家とシャネル日本法人代表取締役社長との往復書簡。共に自分には無い視点が面白い。フランス語が分かれば原書で読みたいところ。

この辺とか。実家に何故か全巻揃ってたので帰省時まとめ読み。全てに首肯できる訳ではないが、「普遍」を語る氏の言葉はやはり力強い。しかし、「NPO法人わたくし、つまりNobody」という名称はどうにかならんかね。

・小説
何故か突然須賀敦子がマイブーム。あまり長続きしないんだけど。

前作よりはとっつきやすい感じ。「家守綺譚」に近いせいかもしれない。

・マンガ
数年ぶりにマンガを買った。
だって好きなんだもん。安直にアニメ化とかの企画を立てるのはやめて欲しい。あの線は大量生産には向かないよ。

エラいアンバランスになってしまった。実際読んだ本は技術書とかも足して3-4倍程度でしょうか。
まとめて書くと大変なことになるのは身に染みて分かったので、来年はその都度書いていきたいです。


以上、おしまい!!

今年一年、仕事、プライベートにおいて僕に関わってくれた全ての人々に感謝を。
2010は、もう少しアウトプット(形式、内容共に)に重点を置いて活動していきたいと思います。
良いお年を、そして来年も宜しくお願いします。

2009年11月26日木曜日

うちの先生

勢いで連投。

今日は会社の上司にして僕の先生役の方に、AECS4に追加搭載のトラッキングツール"Mocha"の使い方を教えて貰いました。
アレま、手持ちカメラのブレがあっという間にスムーズに!!
お持ちの方でまだ使ってもいない方、一度試してみると良いですよ。アニメやCGよりは実写系の方が向いているかもしれませんが、逆に計算で作られた映像に自然なノイズを混ぜる、という意図でも面白いかもしれません。
痒いところに手が届く機能は別売りだったり、AEへの適用が昔ながらのコピペだったり、イマイチ格好が付かないのも、何かこう、親近感が沸いてきます(無理やり)。
僕も今度試してみよう。


ついでなんでこっそりブログのリンクを張っておきます。

CGやり直し

人に教えるのが非常に上手いので、皆さん分からないことがあったらじゃんじゃん聞いてしまいましょう。
さあ、もう逃げられないですよ。早くtwitterを始めてください!?(アレ

little next step

今年も残すところあと1ヶ月ほど、ということで上司の方と来期のチーム編成を相談。
どうやら、僕が今回しているラインは残しつつも、その場所は後輩に譲ることになりそうだ。立ち上げに関わってから気付けばもう2年以上、結構長く関わってきたもんだな。

途中、撮影監督を引き継いだり、流れで劇場版まで体験できちゃったり本当に色々なことを勉強させて貰った。特に2年目の今年は、作業工程へ大幅にAEのスクリプトを導入したりとちょっとしたこれまでの総決算的なことも出来た。
全てが上手くいったとはとても言えないけれど、その辺に関しての次の一歩の向かう先はおぼろげながら見えてきた気がする。これは、春までの引継ぎ期間の中で整理しつつ、次世代へと受け継いでいければ良いと思う。勿論、完成はまだまだなので若人にはこれも宿題として渡しておこう。

アニメーション制作に於ける「撮影(コンポジット)」というセクションは何だかんだ言って本当に楽しいものなので、どんな形にせよ続けていきたい。その道はとにかく奥が深く、僕はこの2年を通してやっとその深さを認識できるところに立ったに過ぎないけれど、どうせなら、これを見なかったことにして通り過ぎたりせず、その奥の景色をちょっとでも(背伸びしながら)覗き見る方へ進んで行きたい。


ということで、現実的には日々の仕事をこなしつつ手元の道具を増やしていくのみです。うちの会社は(一応)立体視の技術が売りで、僕もまたそこにいるからにはやってみたいことがある。幸いなことに、学んでいきたい分野で先を進んでいる先輩方もすぐ傍にいる。チャンスを見ては積極的にアニメにも参加しつつ、今ここにいる自分ならではの(小さな小さな)歩みを進めて行くんだぜ?

2009年10月25日日曜日

スクリプトの日々

裾野を広げつつ、フィードバックを得るため、ついでに自分もスクリプトに慣れるために会社の社内掲示板にAfterEffectsスクリプト目安箱みたいなスレを立ち上げてみた。

以前作った”CompBuilder”みたいな大掛かりなものでなくて、
「こんなことが出来たら、AEでの作業がちょっと便利に」程度のものをササっと書いてLAN上にアップする。

とにかく敷居を下げて「こんなこと、チャチャッと出来ない??」という発想を持って貰えれば嬉しい。
こっちはこっちで自由な視点から思い掛けない発想を得ることが出来るし、何より小ネタを速く書くことは良い練習になる。

「こないだのあれをちょっと弄ればこんなことできるんじゃないか?」
「このUI,ダサいから自分の好きなようにカスタマイズしちゃおう」
というところまで行けば布教成功。
新たな同志の誕生である。

今のところ出来たのが、
・「選択レイヤーの一つ上に調整レイヤーをつくるスクリプト」
・「シャイ/非シャイレイヤーを反転するスクリプト」
という、かゆいところに手の届くような小ネタばかり。

構想が決まれば30分ほどで完成するので、書いているほうもストレスが無く楽しい。

CS5の話もちらほらと聞こえてきて、OSの64bit化、扱う映像の高解像度化など、
いつまで映像制作をAE完結型で出来るのか、そもそもワークフロー自体も全然違うものが考え得るのではないか。
次を見据えた環境も作らないと、と悩みは尽きないけれど。

まずは、今ある環境を(ちょっとだけ)より良くすることもきっと無駄ではないはずだ。

2009年10月4日日曜日

長すぎる

しかも、イマイチ自分の語り口調としてしっくりきていない。サイズの合わない借り物の服でステージに上げられた子供みたいだ。小林秀雄曰くところの
「全身を血球と共にめぐる」言葉を育てていきたいネ。

2009年10月3日土曜日

2009収穫祭(3)

続いてもう一つ、今回の経験を通して考えた「アニメ撮影における映像表現的側面」について。

・素材か、作品か
撮影という部署は各カットを構成する全ての素材が集まるため、僕はこれまでそれらをあくまで「如何様にでも調理可能な素材」として見てきた。が今回のように沢山の人が参加する作品に参加できたことで、この考え方は少々傲慢ではなかったか、と反省している。
つまり、撮影にとっては素材に過ぎなくても、それを制作した人にとっては大事な完成品だった、ということだ。全く弄らない、ということは無いにせよ、ある程度見栄えに手を加えるのであれば、事前に確認を取っておくべきだったかもしれない(先に挙げたコミュニケーションの問題も絡んでいる)。

どこまで素材を活かすのか、どこまでそれに手を加えるのか。これは(少なくとも僕にとって)いつも頭を悩ませる問題である。きっとその都度、監督、演出の意図を理解し、最善のアウトプットを心掛け、共にそのカットを作る担当者とすり合わせていくことになるのではないか。

・インプットとアウトプット
無い袖は振れない。自分の中に存在しないイメージは決して作り出せない、ということである。アウトプットは実はインプットと殆んど同義だから、如何に多くのイメージを自分の中に取り込んでいくか、ということが撮影としての幅を広げることに直結してくると言えるだろう。
僕は果たして見えているだろうか。自分の言葉で語れなくては言葉を理解したことにはならないのと同じ意味で、そのイメージを理解できているか。結果は一目瞭然である。

インプットすべきもの、演出指示もその一つ。カメラによる撮影時代から確立された「パラ」、「ダブラシ」、「つけパン」といった符丁は、業務をこなす上では一通り身に付けておくべきいわばマナーのようなもの。
しかし、マナーはマナーで身に着けつつも、そこからはみ出た行動が全く出来ないのでは、映像表現もまた凝り固まった時代錯誤のものになってしまいはしないか。現状は、かつての「撮影台の模倣」という一つの約束事に過ぎない、ということを意識のどこかに残しておきたい。

また、先日のプレゼンにて「カラーマネージメント」の問題が指摘されていたが、恥ずかしながらそこまで正確に問題を把握していなかった。多様化した映像再生環境においてどこをターゲットにした絵作りをしていくか、知らなくては、考えて身に着けていかなくてはならないものは幾らでもある。


以上、長い長いまとめひとまず終了。正直今回の仕事の出来栄えは(自分の領分に限って言えば)赤点ぎりぎりだったと思っている。関係者の皆さんゴメンナサイ。
がしかし、これを契機に色々考え、知り、得るものは十二分にあった。いつの日かこれをアウトプットする機会を与えて貰えれば嬉しいです。

2009収穫祭(2)

では前回ポスト分の説明をば。

■1:制作的側面
・管理の効率化、自動化はもはや必須事項(例えばExcelの利用)
・部署内での効率化では効果は限定的、制作全般に渡るシステム構築が理想
・ツールのプロトタイプ化

先日のプレゼンを見ていて思ったのが、現状各アニメ撮影現場においてデータ管理はExcelが主だということ。勿論うちもそうだし、昨日買ったCGWORLD見たらゲーム会社でもEXCELの事例があった。圧倒的事例数が魅力だということか。

そのエクセルも基本機能のみ使って只の製表ソフトとしていては宝の持ち腐れである。やはりVBAを使ってのファイルアクセス(外部データの読み書き)や自動更新によるリアルタイム管理の活用など、「機能に使われるのではなく、ツールとして使いこなす」ことが必要かと思う。
特に今回の劇場版のように大量のデータ(総カット数1400CUT,総データ量1TB弱)を管理するには、こうしたツールを使った自動化は効率の面でも正確性の面でも不可欠だ。つまり、映像制作においては如何に大量のデータを高速、かつ正確に管理するか、という能力も必要となって来る訳である。

勿論、全体的なデータは制作さんが管理してくれるが、そのデータのフィルタリング、及び撮影の内部データの管理はやはり部署内で行うしかない。
その際、(得てして映像制作従事者はこういったデータ管理とか数字とかに苦手意識が強いので)無味乾燥なデータの羅列ではなく、視認性を強めるなどデザインにも気を配れると、仕事場の空気も変えられる気がする。逆効果もあるので諸刃の剣なのは言うまでも無く。

そして、これら管理ツールの機能を機能毎に細分化して、エフェクトのプリセットのようにライブラリ化しておくところまで進めたいと考えている。そうすれば、また新しいプロジェクト毎に0からシステムを構築する必要もなくなるので、そこでの効率化も図れるだろう。
同時に、機能毎に整理されたスクリプト、ツール群は新しくそれを勉強、利用しようとする際の敷居も下げてくれないか、と期待している。0からシステムを組むのは無理でも(勿論、それを勉強しようとする姿勢は絶対に必要だと思うけど)、それを組み合わせること+αで望みの機能が得られるのであれば、自分もやってみようという気に・・・なってくれないかな。


さてここまでは撮影部署内での効率化の話だが、当然アニメ制作はこれ以前、以降にも大量の工程があるわけで、連携が取れていなくては良い物は作れない。
僕は「制作システム自体が制作者の思想を反映する」と考えていて、つまり「各部署の連携が取れてビジョンを共有できるようなシステム」は、「その制作体制を作り上げる存在がゴールを見失わず、それを共有することが大切だと考えたことの何よりの証明」だ、ということである。文字にしてみると何を今更、といった感があるけれど。
混乱する現場とは即ち、指揮官、およびスタッフに明確なビジョンが共有されていないことの現れである。あなたの現場はどうですか?

今回、劇場版の制作に当たっては撮影のみを請け負うスタイルだったのでなかなか制作システムにまで関与することは出来なかったのが反省点。他部署にまで意見するのは難しいけれど、敢えてそこは踏み込むべきなのだと思う。PC上で映像を作ることだけが映像制作ではないのだし。
細かなところではファイルの命名規則から、各カットの各素材が今、どこでどのような状態にあるか共有する手段まで、デジタルアニメ制作が一般化した現在においてシステムの共有は不可欠だ、という意識を共有することが重要であるように思う。


・コミュニケーションの重要性
・各工程における到達点をそれぞれの段階の作業者に明示しておく

上でも触れたが、コミュニケーションの重要性も今回再認識させられた。部署内であれば素材更新の連絡から各カットの最終形のイメージまで、交わされる情報量は細に渡り、かつ膨大である。
特に終盤は修羅場と化し、時間の無い中で微妙なニュアンスを求められるため意識の共有は不可欠で、これらは一朝一夕では醸成出来ない。普段から言葉を交わし、意識を共有するパイプを太くしておくことを心がけたい。
…なんていうと肩が凝りそうだけれど、何のことは無い。せっかく同じ場所にいるんならちょっと一声掛けて、そのうち好き嫌いの話でもしてみましょ、てな感じで。
これらを円滑にするインフラとしてのツール開発も勿論必要だが、決定的なのはそこで交されるものの方であるのは言わずもがな。

直接のやり取りが難しい他の部署とのやり取りであれば、共有すべきイメージをある程度明示することは更に重要になってくる。
例えば、各工程の注意点、到達点を明示しておく。大規模なプロジェクトともなれば初めて参加するスタッフも多いため、細かな仕様まで確認を任せるのは非効率だし危険でもある。押さえ所を最低限に明示しておくのは効果的だと思う。僕のように余計なところまで口を出さないようご注意を。
正直この作業は結構面倒だけれど、ここをいい加減にすると後で泣きを見る、絶対。間違いない。


・思考停止の防止(何を考え、何を自動化するか)
僕は今更言うまでも無く効率優先の姿勢をとっているが、かといって何から何までエクセルで自動化すれば良いじゃない、とまでは思わない。
物の管理、コミュニケーションツール、作業データの基本セットアップまでやろうと思えば結構なところまでボタン一つで出来るようになるが、そもそもこの効率化は作業における人為的ミスを減らし、限られた時間をやりくりして少しでも映像制作それ自体へ手を掛けられるようにするのが狙いである。自動化、効率化が主目的になってしまう危険性は常に意識すべきだと思う。
また、システムの構成員であり、ツールを使うスタッフも、気をつけないと只ボタンを押していくだけの機械になってしまう。そもそもの始まりと目指すべき到達点を見失わないようにする意味でも、上に挙げたコミュニケーションは有意義である。

以上、アニメ撮影の「制作的視点」から見た現状分析。いつもの悪癖で長くなってしまった。
要はアニメを作るに当たって、どこまで見通せているか。そしてそのために必要なものは何だと考えるか。それを(ツールを介した)システムとして実現していけるか。そこがアニメーションを作る際の「制作的」側面から見たポイントなのだと思う。
ということでした。

2009年9月3日木曜日

2009収穫祭(1)

初めてフルで撮影監督業務を担当した劇場版アニメが先日公開に。興行的にはずいぶんと順調のようでなにより(制作期間を考えると、費用対効果は抜群だね!)。

出来栄えは観客の子供たちに聞くとして、この折角の経験を「良き思い出」で終わらせるのは勿体無い。今後の自分、どこかの誰かのために少しでも糧になれれば、ということで思いつく限りまとめてみることにした。
(この時期になったのは僕の余りの筆不精っぷりと、あと何だかんだで公開されてからの方が良いのかなあ、というチキンハートのせいです)


どこかの誰かのためにも、という発想が産まれたのにはもう一つ理由があって、上記の作業が一通り終わった絶妙のタイミングで、アニメ撮影業界の飲み会(と称した大プレゼン大会)に声を掛けて頂いたことが大きい。

発起人Terraon氏の溢れんばかりのバイタリティと自由な発想力、先輩たちの(技術は勿論)意識の高さなど非常に衝撃的経験だった。それはもう、同業者を名乗ってよいのか半分本気で不安になった程に…
そこで(深夜3時の二次会の席で)大先輩から言われて、現在僕のさまざまな行動上の指針となっているのが、

「表現には『指向性』があり、(ただ漠然と表現するのではなくて)それをもっと突き詰めないといけない(アルコール分を飛ばして意訳)」

ということ。
メインの映像制作においても勿論そうだし、先日のようなプレゼンも然り。ブログやtwitterといったツールによる表現にも当てはまるだろう。このブログは現状アニメ撮影における技術的な傾向が強いので(本当はもっと色気のあるネタも書いてみたいところだけれど)、見て頂ける方もその手の人達、と勝手に想定している。そんな人達にとって何かしらの参考になれば本望だ。

* * *
ちなみに、アニメの制作過程をご存じない方向けに簡単に説明すると、ここで言うアニメの「撮影」とは、様々な現場で制作された「アニメの画面を構成する素材(=キャラクターの絵、背景の絵、etc)」をコンピューターを使って1つに合成する工程を指す。
「撮影」というカメラ用語(?)をいまだに使うのは昔、絵を描いたセルロイドを重ねたものを実際にカメラで撮影していた時代の名残である。
この「撮影」という言葉から良くも悪くも逃れられないところに現在のアニメ撮影業界の問題が潜んでいると思うのだが、それはまた別の話。

今回僕が担当したのはこの撮影というセクションを統括する「撮影監督」という部分。
* * *


閑話休題。
以下、「アニメ撮影」という部署に於いて便宜的にワークフロー管理などの「制作的側面」と撮影の主眼である「映像表現的側面」に分けて、それぞれの要点をまとめてみた。

■1:制作的側面
・管理の効率化、自動化はもはや必須事項(例えばExcelの利用)
・部署内での効率化では効果は限定的、制作全般に渡るシステム構築が理想
・ツールのプロトタイプ化(?)により作業者各人が能動的に制作システムに参加できるようにする

・制作管理と映像管理の分立

・コミュニケーションの重要性
・各工程における到達点をそれぞれの段階の作業者に明示しておく
・思考停止の防止(何を考え、何を自動化するか⇒システム構築者の「アニメ撮影への思想」を反映)

■2:映像表現的側面
・素材か、作品か
・インプットとアウトプット


長くなりそうなので、詳しいことは次回説明していきたい。

2009年8月31日月曜日

一仕事を終えて(前フリ)




大きな仕事が一段落。
この週末で放っておいた家事を整理しましたが、いやはやひどい有様。
とりあえず象徴的な冷蔵庫の中身をご紹介。
冷凍庫には氷のみ、冷蔵庫にはちっとも減らない「電気ブラン」一本。

…どんな酒飲みやねん。
(ちなみに僕は全くの下戸ですよ)

このお休みのおかげで今はもう少しだけまともになりました。
さて、気を切り替えて日々の仕事に戻りつつ、今回の貴重な経験を
まとめる作業に入ります。

2009年8月16日日曜日

2009/8/15 ニ思フコト

2009年のお盆、8月15日は天気も良く、連日の蒸し暑さから開放された、からっと気持ちの良い一日でした。季節にもう秋が感じられる、というのは流石に先走りすぎかな。またしばらくしたらこの夏特有のあの蒸し暑い日々が戻ってくるのかも。今年の夏は「蒸暑」というのは近所の床屋のおいちゃんの弁ですが、言い得て妙だなあ。あまり嬉しくも無いけれど。

さてお盆も後半戦。安くなった高速道路はUターンラッシュで大混雑、これも子供の頃から記憶に染み付いた風物詩ですね。20数年前と違うのはおばあちゃんの家でみんなで涼んでいるのではなく、東京の片隅で黙々とアニメ映画を作っていること。(あまり健康的ではないよね。今年限りにして欲しいもんだわ。)


8/15というのは不思議なもので、どうしても何かを振り返らせる力を持った一日のようだ。お盆と終戦の日が重なっているから、というのが現代人的には分かりやすい説明になるのだろうか。お盆と言ったって地域によっては時期も違うらしいし、戦争と言うと人によって捉え方が違うだろうから、これはもしかしたら僕固有の感覚なのかもしれない。(どうなんでしょう?)

帰り往く魂、越し方の道、どうしてもそういったものを思い浮かべてしまう。かといって体全部そちらを向いているわけでもなく、ましてそちらに向かって行こうというのでもない。体は確かに前を向いているし、その足は確かに今ここに立っている訳だけれど(そう思っている、そういうことにしている、の方が正しいのかしら)、ふと立ち止まってひょいと肩越しにそちらを覗き見る。

そうすると、そこには自分と同じようにそうやって振り返って顔の見えない誰かの列がずらっと続いている。ぎょっとして前を見ようとすると、やはりその目の端っこには慌てて顔を戻そうとする誰かがいて・・・その辺まで来るともう、自分だとか他人だとか現在過去未来なんてごっちゃで訳が分からなくなってしまう。


と言う夢を仕事中に見た、というオチなのですが。
そういえば「前後ありといへども、前後裁断せり」という言葉があったなあ(大拙でしたっけ?)。「今」は「いつか」でもあり「僕」は「彼ら」でもある、ということでしょうか。


そんなこんなで、妙に静かな(環境的にも意識的にも)この短い一時が僕は結構好きなようです。おまけにいろいろなものの境界が淡くなってもいる感じが。

この得も言われぬ感覚をもう少し甘受していたいのですが、そうも行かないのがこの世知辛い世の中。お日様が昇ったらまたお仕事に戻らないといけません。今回は初めてのアニメ映画制作への本格的参加。色々な人のお世話になりつつ、もう少しでお仕舞いです。正確にはスケジュールはお仕舞いなのですが作業内容はちっともお仕舞いが見えません。10日後には何がどうなっているのやら。

今回の経験を経て色々得たものもあるので、落ち着いたらこの場で整理していきたいと思います。落ち着けるのは…いつになるんだろう???

2009年7月8日水曜日

七夕と月と川の光




今年の七夕は久しぶりの晴れ、月も綺麗でした。

写真は帰宅時に橋の上から撮った隅田川と七夕の月。
手持ちのカメラが小さなトイデジしか無かったので、その再現度はちっともですが。
(特に月にはトイデジ特有の偏光?フレアが掛かってますね。これはまあこれで…)

実物は白く輝く月と、それを反射する波頭がキラキラと本当に綺麗で、ちょっとえも言われぬ感じ。
それを何とか再現できないかと頭に焼き付けようとしてしまうのはもう職業病ですな。
あの光景は、あの瞬間のあの場所にしか存在し得ない、そんな類のもので、再現なんて望むべくも無いのは分かり切っているのですが。
きっと終電ぎりぎりで手をつけていた仕事のせいで脳内アドレナリンも摩訶不思議な作用を見せたのでしょう。

さて、そしてそろそろ本格的な夏の予感。
写真2枚目の鉄パイプは毎年恒例、隅田川花火大会観覧客の落下防止用のものです。
ああ、もうそんな時期なんだねえ。

なんとも無粋な・・・とも思いますが、自治体としても大量の(多くは酔っ払いの)沈没客を
引き上げるのとトレードオフとすれば、致し方ない、といったところなのでしょうか。
春の花見といい、夏の花火といい、見上げる風流のその元は随分とごちゃごちゃしているものです。

僕個人としては、今年の夏はこれまで以上に完全インドア確定っぽいですが、腐らず頑張っていきましょう!!!

2009年6月28日日曜日

ワレ、新システムに移行セリ



真夏の一大決戦に備えて春先からチマチマ武器を作ってきましたが、そのメインシステムの試作版がとりあえず完成、半月前から実戦投入を始めました。

その正体は、至る所のスタジオで独自実装されているであろう「AfterEffectsによるアニメコンポジット(撮影)」の作業支援スクリプト(.jsx)です。うちの奴はExcelによるカット管理表と連動して、各カット毎のセットアップを自動化します。(何を今更って?まあ、そこはそれ、いろんな事情があった訳で)


ちなみに、良くある30分のTVアニメでは大体1話300カット前後、といったところでしょうか。それぞれのカットの背景、キャラ、その他特殊素材といった「構成要素」を、AfterEffects(AE)上で合成、一つの「映像」に纏め上げる訳です。
そのファイル数は優に万を超え、さらに制作状況によってはリアルタイムで更新されていきます。素手で立ち向かうは余りに無謀というものです。

また、この工程で最終的に求められるのは上記の「映像構築能力」だと思いますが、前提としてその膨大な素材を取り扱う作業が各カット毎にルーチンワーク的に発生します。ここを如何に効率的に処理し、本来の映像制作作業に時間と脳みそを割り当てるか。この認識がある故に、おそらく各社各様の「作業支援システム」が作られているのではないでしょうか。(各社各様というところに、そも全体としてシステマチックになりきれていないアニメ制作工程の問題があるとも言える気もしますが)


閑話休題。
とりあえずうちの子は現在手がけている作品固定で組んであるのでなかなか融通の利かない頑固者ですが、限られた条件下では結構な働きをしてくれます。(一応機能別にパーツ分けしてあるので、他作品への転用も比較的簡単に対応できる予定、つまり未定)


流れとして、
1;カット毎の情報ファイル書き出し(これはカット表上のVBAマクロで)
2;AEで情報ファイルを解析、それに従って素材の読み込み、配置、シーン毎に設定された処理掛け、及び作業ファイル(aep)の名称や尺設定、指定場所への保存(こちらを今回のスクリプト(.jsx)で)
をほぼ全自動で処理します。

各コンポジット作業者の手元には、「担当カットが作業可能になった段階」で「仮組みされた作業データ」が提供される、ということになります。作業者の能力よりもスピードと正確さを要求される処理を自動化することで、作業の効率化と正確化、それにより期待される映像的表現の向上を目指そう、という狙いです。

時間的には、上記2の工程、AE上で情報ファイルを読み込んでから一連の処理をこなしてデータを保存するまで30秒は掛かりませんでした。「手作業で処理する場合との時間差」*「カット数分」の時間を人の手によるオペレーションに割り当てることが可能になる計算です。


半月ほど実践稼動してみて、いろいろと課題も見えてきました。作業の効率化、及び統一性の向上、という点は時間の無いTV制作の中では非常に大きい。(極端なケースでは作業量が倍になった、という例もあります。今までどうやってたんだ…)また、処理の統一性の向上はチェック担当者としてはありがたいものです。

が、問題点としては運用の機動性も指摘されました。一度動き出すと速いし効果も大きいのですが、データを収集、整理する段階でまだまだ効率化を追求する余地が多分にある。現場ではこのシステムをよく大型エネルギー砲(某巨大宇宙戦艦のアレとか、某八島作戦のアレとか)に例えてました。曰く、撃てれば圧倒的だが撃つまでが大変・・・」
むむむ…それは本意ではない。あくまで映像制作上のストレスを緩和する為のシステムが(規模は小さくとも)新たなストレスの温床となっては本末転倒です。

この解決策として、工程の見直しとスクリプト処理の高速化、そして(大型エネルギー砲に対して)小型携帯火器、つまり「全体として作動するシステムに連動して機能する個人レベルでのスクリプト群」を構築しているところです。


この、一度ではスパッと現状を打開できないあたりが僕の現在におけるシステム構築能力の限界、といったところでしょうか。傍から見れば亀の歩みにも見えそうですが、少しずつバージョンアップして「美しい=理に適った映像制作システム」を構築していきたいと思います。
(そして忘れてはいけないのが、このシステムがあくまで映像制作「支援」目的だということ。システムを構築しただけで出来上がる映像が良くなる訳ではない。本来の眼と腕も常に磨き続けなくては。)


そろそろ夏の最前線の地響きがしてきました。戦局はどうやらかなり厳しいようで、各地から厳しい情報が寄せられてきます。戦場の徒花にならないよう、戦術を磨き、兵を鍛え上げ、人事を尽くして天命を待ちたいと思います。死亡フラグなんてへし折ってやる!!

2009年6月21日日曜日

知人紹介

いつの間にか旧友がブログにて紹介してくれていたので、返礼も兼ねてこちらでも紹介。

NEWADVENTURE―未来航路―

イサイ氏は専門の同期ですが、同い年ということも含め妙に意見があったり、逆にどうしても折り合いがつかなかったりと面白い存在です。
単純な映像制作技術だけでなく、創るものの方向性から生き方、在り方まで真似は出来ませんしする気もありませんが、今後もたまに会ってああだこうだ言い合えればいいね、と。願わくば自分もそういった人たちに対して刺激的な存在であり続けたいものです。

まだ未見の方は、宜しければ彼の『めぐり逢う世界-world comes around-』を見てみて下さい。凸凹(失礼!)ではあるけれど、結構貴重な「作者の匂いのする」映像作品だと思うのです。

2009年6月7日日曜日

見てきました「Cirque du Soleil ”Zed”」

先週末にウチの会社企画で舞浜まで行って見てきました。

Cirque du Soleil ”Zed”

いやあ、こういう目的があると仕事が捗ります。
十数年ぶりに舞浜駅を見て、そのあまりのメルヘンっぷりとミスマッチな「JR舞浜駅」の文字が印象的でした。

閑話休題。
当日は突然の電車遅延もあって時間ギリギリで到着。
5分前の入場で客席はほぼ満員、Zedの為に作られたという常設シアターは、ステージと客席がほぼシームレスになっており、客席の勾配も自然で全体的に一体感を感じる良いデザインです。
「古代の天文観測儀(アストロラーベ)からインスピレーションを得てデザインされた」ということでさもありなん。勿論本編の内容もすばらしいのですが、個人的にはこのステージセットを構築できた段階で半分は成功が約束されたようなものだと思います。
(がしかし、このステージが真価を発揮するのは幕が開いてからなのですが…そこは各人の目で)

途中休憩を挟みますが、一度動き出すと時がたつのはあっという間。もう、舞台を見ているんだか演劇なんだかサーカスなんだかだんだん分からなくなってくるけれど、とにかく楽しい。Exciting!!というのが一番しっくりくる感じです。ジャンルは良く分からないけれど、要はエンタテインメントなんだな、と。
超一流のアクターによる誤魔化しようの無いリアルタイムなパフォーマンス、それを支える確かな演出、そして観客に見えないところで駆使されているであろう膨大な技術。このステージを成立させる為にどれだけの人たちがそれぞれ異なった能力を注ぎ込んでいるのだろうか。その場の興奮から一呼吸おいて考えてみると、ちょっとクラッと来ますね。

映像業界の末席に連なる身としては、やはりビジュアルな演出が気になりました。今回特に上手いなあ、と思ったのは光と影のコントロール、そして舞台の構造を巧みに利用した多層的展開です。以前Terraon氏が「多層エンターテインメント舞台」と書いていましたが、まさにそんな感じです。空間も、演出も、時間すらも?同時多層的に展開され、観客を魅了して止まない。言うは易くも行うは難し。それを非常に高いレベルで見せ付けられた感じでした。

そしてもう一つ、音楽について。Zedでは基本音楽も一つのパフォーマンス要素として扱われているようです。ドラムやギターといったバンドスタイルからパーカッション、バイオリンといったソロスタイルまでが時に舞台上を駆けながらアクターたちと競演している。その音楽は時にアクター以上に雄弁で(バイオリンのノリノリっぷりなんてもう!)、音による「人々のパッションを纏め上げる力」を十二分に実感できる光景でした。
(しかしアクターさんたちはあんなテンポのずれた手拍子の中でよく集中力が切れないもんだ、と余計な感心もしたり)
休憩時間に流れていた音が妙に気になったのですが、あれ何だったんだろう?ヴィブラフォンじゃないの?という指摘を社内の若い子に聞いたんですが。ご存知の方、教えて下さい。

総じて、非常に楽しい時間でした。何かしら仕事に活かせるものを得てやろう、といったちっぽけな意図は舞台の幕が開いた途端にどこかに行ってしまいましたが。それも含めて、フィードバックフィードバック。
エンタテイメントに関わる人は体験しておいて損は無いと思います。
自分ももう一度…行けるかな???

2009年5月27日水曜日

AEでの色空間(若干修正)

先日の内容に早速ミスを発見したので突っ込まれないうちに修正。現状特にレスは無いので実害は無いと信じたいですが、ご迷惑をお掛けした方がいらしたら御免なさい。m(_ _)m 以後ちゃんと検証します。まあ、ある程度の見切り発車は差し引いてごらん下さい(言い訳~)。

で、修正点ですが。
HSB⇒RGBでS(彩度)が0の時RGBが[0,0,0]となっていたのを[v,v,v](v=明度)にしました。計算式が良く分からなくても、彩度が0なら後は色を決めるのは明るさだけってのは明白でしたね。ちゃんと自分の書いていること読み返さないとなあ。

まだ問題点が残っておりまして、若干正確性に欠けるようです。8bit,16bit共に1%以下の誤差ですが、気になるものは気になる。恐らく小数点以下の処理あたりが原因ではないかと思うのですが。ど~~しようかしら。

そうこうしている内に、上記関数を内包する、「アニメ撮影下準備自動化スクリプト」がだいぶ形になってきました。ウチの作業環境に特化した非常にローカル色の強いものですが、その分はまった時の効果は大きいです。需要があるか分かりませんが、今後、現状思い描いている作業システムなぞご紹介出来れば、と考えています。
それでは。
(´・ω・`)ノシ

2009年5月23日土曜日

AfterEffectsでの色空間

コーディング中にちょっと躓いたのでメモ。[※修正版@090527]

AEではスクリプトによって平面を作る際に"addSolid"というメソッドを使いますが、ここで色を指定するやり方が良く分かっていませんでした。

スクリプトガイドによると、
”app.project.item( index).layers.addSolid(color, name, width, height, pixelAspect, duration)”
となっており、”color”に関しては、
”The color of the solid, an array of four floating-point values, [R, G, B, A], in the range [0.0..1.0].”
とされています。
つまり、RGBを各0~1で設定してやらんといけない訳ですね。

見慣れた0~255でないのは、プロジェクトの色深度が16bit,32bitの場合もあるから、というのは理解できます(実際、アニメ撮影業界はそろそろ16bitが標準となっているのではないでしょうか)。

が、通常のGUIで平面を作成する際のパラメータは、相変わらずHSBと各色深度分のRGB(8bitなら256階調)のままです。
ん~~、何か分かりにくい。

という訳で、色深度が幾つだろうがパラメータが変わらないHSBをベースに、0~1のRGBへコンバートする関数をチャラっと組んでみました。(参考:http://en.wikipedia.org/wiki/HSL_and_HSV)

//-----------------------------------
function convHsvToRgb(h,s,v){
s=s/100;
v=v/100;
var Hi=Math.floor((h/60))%6;
var f=(h/60)-Math.floor(h/60);
var p=v*(1-s);
var q=v*(1-f*s);
var t=v*(1-(1-f)*s);
var r;
var g;
var b;

if(s!=0){
switch(Hi){
case 0:r=v, g=t, b=p; break;
case 1:r=q, g=v, b=p; break;
case 2:r=p, g=v, b=t; break;
case 3:r=p, g=q, b=v; break;
case 4:r=t, g=p, b=v; break;
case 5:r=v, g=p, b=q; break;
default:r=v, g=v, b=v;
}
}else{r=v;g=v;b=v;
}
var result = [r, g, b];
return result;
}
//-----------------------------------
AEのGUIでの表示がSVとも0-100%なので、頭で除算してあります。
それ以外はほとんどWEB上の参考文献のまま・・・

この関数に平面設定時のHSB情報を渡してやると、そのままの色のRGB(0-1)値に変換できるはずです。
後は、
”app.project.item( index).layers.addSolid(convHsvToRgb(h,s,v), name, width, height, pixelAspect, duration)”
とでもしてやれば一件落着?

何でこんなことをやっているかというと、アニメ撮影時、シーン毎に設定された色平面を自動処理的に作成したいからです。
これが出来ないと、夏の決戦を生き残れない予感・・・

付け焼刃の対応ですのであちこち綻びがあるかと思います。
上記の関数に関しても、何かお気づきの点あればご指摘下さい。

2009年5月10日日曜日

びびった・・・

Terraon様白石運送様にて先日のスクリプトを紹介して頂く。
( ゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚)

このAAを我が身で味わうことになるとは思いませんでした。
いやあ、びっくり。
まだまだふつつつか者ですが、今後とも宜しくお願い致します。


さて本題。
Terraon様のツッコミにもありましたが、コンポジット作業時にAfterEffectsのプロジェクト作業内容を確認せずに監視先に回してしまうことは確かにリスキーです。
作業途中の非常に重いデータで監視用のマシンやレンダー先に無駄な負担をかける心配もあります。
うちはどうしているかというと・・・実は作業者の判断に任せているという・・・
安全を期するならばセーフティーネット込みのワークフローを構築すべきですね。

また、Terraon様が示唆されているように、プロジェクトの保存と同時に監視用のデータを作成する方が効率的かつ安全な場合が多いかと思われます。
僕が現在作成中のスクリプトでは、こちらの方式を取るつもりです。こちらも後々公開できれば。

WSH(Windows Scripting Host)自体はwindowsユーザーならすぐに使える上、VBScript,JScriptと言語も豊富、ネット上にも情報が満載なので、非常にお勧めです。あまりうちの業界で使われている例を見ませんが。(MacならAppleScriptに当たるのでしょうか)
OS標準なのでAE以外との橋渡しにも使えますし、使い方によっては化けるのではないでしょうか。そして誰か良いスクリプトを見つけた、書いたら是非教えて下さい。

ちなみに拙スクリプトですが、例えば"SendTo"に入れておくと、AEP(複数)選択→右クリックから「送る」で監視用データ作成へと持って行けたりします。地味に便利。


とにもかくにも。
ご紹介、ご指摘ありがとうございました。
またぼちぼち小ネタをご紹介していきたいと思います。
(´・ω・`)ノシ

2009年4月30日木曜日

運命それとも・・・?

昨日ブログの試用も兼ねて手製スクリプトをアップしてみたところ、
なんと、ほぼ同じ頃に似たようなスクリプトを公開されている方を発見。
って、Terraonさんじゃないの!?
(面識は無いですが非常にセンスのあるサイトでたまに拝見していたのです)

あちらはAE上でのJSX,こっちはwindows標準のWSHという違いはあるけれども。
似たようなところに着目している人もいるんだなあ、とちょっとうれしい出来事でした。

しかし、あちらの平易な語り口、簡にして要を得た説明、ホントうまいなあ、と憧れます。
いつかはあのような一体感のあるサイト構築を目指したいですね。

と勝手に気を良くしつつ、ゴールデンウィーク中の仕事場へと戻っていくのでした。
次回予告;「AEのバッチレンダーをほんのちょっと便利にするWSH」なぞ、如何でしょう?

2009年4月27日月曜日

自作スクリプト その1

たまには人の役に立ちそうな情報もアップしてみようテスト第1弾。
実際に仕事で使ってる、After Effectsの監視レンダー用データ生成スクリプトです。



ウチは作業データをLAN上に置いたまま作業をしているので(そのことの是非はまたいつか)、
AE側でプロジェクトのみ収集すれば同じことなんですが、
ちまちまメニューを選択するのが面倒なので、エクスプローラ上での
aepドラッグアンドドロップでやってみました。
こんな単純なものでも、いちいちAEに読み込んでまとめてレンダーしていた昔と比べると
だいぶ効果的ではあります。
パスの長さにもよりますが、まあ50カット弱くらいはまとめて処理できるかと。
WSHはささっと書けて便利ですね(VBもjavascriptもありなのも◎)。

本職(?)の人から見ると変数名とかイケてない部分もあるかもしれませんが、
とりあえず動いているので結果オーライ的な感じで。
恥ずかしい間違いとかあればこっそりと教えて頂けると助かります。

…とか言いつつ、早速生成先のパス確認忘れを見つけてしまった。
試しに使ってやろうという方は”tgtFolderPath”の存在を確認してから
実行するようにされた方がより安全です。きっと。

内容はシンプルなので、順を追って本文を見て頂ければ
パスの書き換えとかバージョン変更くらいですぐに使えるかと思います。
お気軽に~。
ご意見ご感想頂けると今後の励みになります。

そして最後に恒例のお約束。
ものを消すことは無いので大事にはならないかと思いますが、
ご使用はあくまで自己責任の範囲内でお願いします。
くれぐれも、いきなり納品用データのレンダーになんて使わないで下さいね。
(´・ω・`)ノ

2009年3月15日日曜日

こっそりと祝杯(ほろ酔いでボケボケ)


先週末に1年続けたTVアニメシリーズが無事作業完了。
まだV編とOAは残っているけれど、うちで出来ることはほぼ終わったかな、という感じ。
何はともあれ、関係者の皆さん、お疲れ様。

個人的には初の撮影監督ということで色々と力不足を実感もしたけれど
収穫は大きかったです。
感傷に浸る間もなく次のシリーズが動き出し、今年はしかも劇場版まで!!!
そりゃあもう頑張りますとも。

すでにスケジュールには黄色信号が点滅している中、今年こそは作業支援スクリプトを
実用段階まで引き上げるつもりです。
素材の読み込みから最低限のセットアップまでは一通りこなせるようになる…ハズ。
実用レベルまで持っていけたら問題の無い範囲で公開しようと思うので、
ご興味のある方はお気軽にご連絡下さい。

さ、明日もコーディングだ~!

2009年3月1日日曜日

ばーじょん

ほげほげ。
日々の雑務の波を乗り越えて、AfterEffectsのjsxコーディングに着手。
やはり休日(出勤)は集中出来てイイナ。

…なんだけど。
こんな簡単なことも出来ないのか、と自分に呆れっ放し。
ネット上の先達とはエライ差だなあ。
何はともあれ、自分のところで使えなければしょうがないのでガンバロウッと。

さて、目下悩みの種はAEのバージョン違い。
下位バージョンのプロジェクトは読み込むことは出来てもいちいちalertが出る。
全自動処理したいのにこれが邪魔で邪魔でしょうがない。
(けどまあ、alertがスクリプトで抑制出来ちゃったらそれはそれで問題よね)
走らせる前で分岐させるしかないかしらん。

スクリプトを使いこなしている皆々様方はどうしていらっしゃるのでしょうか。

それにしてもAdobeの、特に最近のバージョン攻勢はどうにかならんのか。
食っていくためにはしょうがないのかもしれないけれど、毎年毎年新バージョンでござい、
と出されてもねえ…
そのまえに、FIXされてない膨大なバグをどうにかせいっ!!
せめてバグフィックス版のマイナーチェンジで進めてくれないでしょうか。

アニメ業界御用達のAE6.5.1がサポート外となる(?)今年の年末にかけて、
いろいろと動きがありそうです。

でもきっと直前まで動かねえよな、この業界。
目先のことで精一杯だし。
とりあえず、うちも直近の問題を片付けないと。

というわけで監督、早くシナリオ上げて下さい。
OAまでもう2ヶ月チョイですよ~~~。

2009年2月22日日曜日

束の間の・・・

担当していたTVアニメ撮影が1年の一区切りをつけ、 束の間の2連休IN.

3月からまた新たな戦いが始まるので、残り10日でどこまで準備できるかが今後のうちの戦線を左右することに。


とりあえず、AEの作業補助スクリプトをどこまで実用化できるかがキモなのは明白。
春先には実用例として公開していけると良いなあ…




そんなこんなで今日は一日大掃除と買出し。
狭い六畳間を片付けていたらこんなものが!!!





ナツカシイ。まだ動くのかしら?うちのXPで??

2009年2月13日金曜日

toycameraその2

今回は夜景に挑戦。
…といっても設定も何も考えず終電帰宅ついでに隅田川で撮っただけだけど。
色が全然違うのが面白い。
特に2枚目はエフェクトのようなレンズフレアが乗って やや興奮気味に。

次回は設定の違いを試してみたい。


2009年2月9日月曜日

Bloggerお試し



Bloggerを試してみるテスト。
写真は連日の泊まり作業の中勢いでポチったトイカメラ「vivcam5050」の最初の一枚。

東京は電線が多いなあ・・・